KAWANOJI一級建築士事務所

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House in Abira

安平の家House in Abira

風がめぐる心地よい家

Category:
, ,
/ Place:
北海道安平町
/ Completion year:
2025

概要Description

施工:ThinkBox
UA値:0.33

新千歳空港から車で約20分。
自然豊かな安平町に、延床約28坪の、かわいらしい住まいを設計しました。

敷地は、約40年前に造成された住宅地の一角にあり、周囲には南北方向に住宅が並んでいます。
東側の隣地は地面が約3mほど低くなっており、空が広く感じられる、気持ちのよい環境です。

初めて敷地を訪れたとき、東から西へと抜けていく心地よい風を肌で感じました。
この風の流れと、東側に広がる眺めを大切にした家にしたい――そんな思いから、設計が始まりました。

お施主さんは、弊所が以前手がけた「美瑛の家」を気に入ってくださり、
北海道の気候や自然を感じながら、家全体がひとつながりに使える、開放的な住まいを希望されていました。

屋根は、風の流れに沿うように、シンプルな片流れとしています。
東側には深い軒を設け、夏の日差しや冬の落雪をやわらかく受け止める工夫をしました。
その下にはテラスを設け、室内と庭が自然につながり、外でも気軽に過ごせる場所としています。

建物の向きや配置は、眺めの良さや日当たりを考えながら、敷地に対して少し角度をつけて調整しました。

1階は、中央に水まわりや収納をまとめ、そのまわりをぐるりと回れる、使いやすい間取りとしています。
東側には明るいLDKを、西側の道路に面した位置に玄関を配置しました。

東の大きな窓から入った風は、1階を通り抜け、吹抜けを介して2階へと上がり、高い位置の窓から外へと抜けていきます。
家の中を風がめぐる、心地よい空間です。

自然に寄り添った、のびやかなつくりだからか、建物特有の圧迫感はあまり感じられません。
この場所にもともとあった風景の一部のような、やさしく大らかな住まいになりました。

これからも末長く、北海道の自然を身近に感じながら、日々の暮らしを楽しんでいただければ嬉しく思います。